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レイライン通信 - Soumya 中川れい子の日々を伝えるblog rayline.exblog.jp

エサレン®ボディワーカーでNPO法人タッチケア支援センター代表理事の中川れい子(旧こやごれーこ)の個人ブログです。2003年から、癒しのことを、旅のこと、聖地巡礼、社会問題の徒然を気ままに綴り続けたブログ。


by reiko-koyago

エリック先がアマナスペースにやってきた!その1 「安全」という大切な学び

真夏の暑い暑い平日の火曜日。なんと、エリック・ペパー(Erik Peper)先生がアマナスペースにやってきてくださいました。(ご報告、長くなってしまったので、ブログは2回に分けますね。その1「回想編」、その2は「そして...ポリヴェーガル理論」 
以前から、夫と、一度先生にお招きしたいなぁと語り合っておりましたが、やっと今回、このお忙しい中に時間をつくっていただくことが。今回は、特に「ポリヴェーガル理論とトラウマケア」について。15名の方がご参加くださりました。アマナスペースは満杯。20分ごとに身体を動かしはしたものの、3時間ぶっとおしのレクチャー。いつも、ゆるゆるのエサレンジャーにとっては試練の3時間? でも、頑張りました^^。健康やケアに関する情報満載の、元気いっぱいなエリック先生のレクチャーを拝聴し、時間がたつのも忘れて、あっというまの3時間となりました。

サンフランシスコ州立大学心理学教授であり、ホリスティック医療研究所元所長のエリック・ペパー先生はバイオフィードバックBF療法の世界的なパイオニアのお一人でもあります。そして、BF機器の輸入販売とそのセラピスト養成が仕事である私の夫の、サンフランシスコ時代を支えてくださった20年来の師匠でもあります。

ハーバード大学、スタンフォード大学と、世界トップクラスの知の殿堂を経てこられ、サンフランシスコ州立大学で長く教鞭をとってこられたエリック先生ですが、とても陽気できさくで、心お優しい方です。お若いころは、インドに行ったり、チベットに行かれたり。ヨガマスターの生理反応をバイオフィードバック機器で測定し、瞑想状態の人間の脳の状態や生理反応をを探求したり、お若いころは、自由で探求心旺盛でらっしゃったそうです。72歳になられた今も、はつらつとされて、とてもチャーミングな方です。また、セラピューティックタッチの初期のころ、その効果を測定されたお一人でもあり、初期の様々な代替医療の測定も手掛けて、そのエビデンスを証明し、世に伝えていかれたお一人でもあります。

現在では、バイオフィードバック療法として、様々な症状のクライアントさんが自分自身の生理反応の変化の動きをパソコンのモニターで映し出し、自分自身の「気づき」を深めたり、呼吸法や、リラックス法を誘導したり、「健康と気づき」という、シンプルだけど本当に大切なことをアカデミックな世界できっちりと伝えて来ておられる方。また、IT先進地域のサンフランシスコで、「デジタルストレス」に警鐘をならし、IT機器と、自然と、人間の未来の関係性を大切にしながら、健康的な生き方を誰にでもわかりやすく、体験的なワークと明晰な数値で伝えていってくださるお方でもあります。本当に凄い方なんですが、とってもチャーミングな方なので、日本の医療者をはじめ、大勢のファンの方がおられます。そういう先生が、アマナスペースなんて小さな空間に来ていただいたことは、考えてみれば、なんとも有りがたいことで。。あらためて、夫に感謝です。

私も8年前の2008年、エリック先生のBCIAバイオフィードバックセラピスト認定講座という1週間の講座を修了しました。心拍数や発汗、筋緊張、血流量、呼吸、そして、脳波等、様々な角度から、生理反応の変化の意味を学ばせていただいたのですが、この学びは、その後の私のボディワーク人生にとても役立ちました。実は、エリック先生と出会う以前にも、関西医科大学心療内科医師の神原憲治先生が、エサレンボディワークの受け手にバイオフィードバックのセンサーを装着し、その生理反応の変化を測定するという研究をしてくださったことがあるのですが、その研究も非常に興味深いもので、神原先生ご自身もタッチの力に関心をもってくださいました。もっとも注目されたのは、触れた瞬間(これは、エサレン的なゆっくりとしたアプローチで触れる場合ですが)、触れられた人の心拍数がすと~んと下がるということ。これは、先生いわく「何か位相のようなものが変化しているように見えます」とのことで、その現れ方は、着衣のままで触れても同じでした。この実験は、今から思うと、私にとって「タッチの力」への大きな確信で、その後のタッチケア支援センターの設立につながっていった動機のひとつです。

とはいえ、日々のボディワークやタッチケアの仕事が忙しく、また、あんまりパソコンが相性がよくないのもあり、バイオフィードバックそのものからは遠ざかってしまいました。やっぱり、デジタルは苦手^^。もちろん、夫の仕事ですから、我が家にはバイオフィードバック機器があふれているし、夫が一人でセンサーを自分につけて、何やらパソコンとぶつぶつつぶやいているのも日常の光景ではありますが。

アマナスペースや、タッチケア支援センターの創設、エサレンの認定コースの主宰等、多忙を極めていたここ数年。本当に忙しくて、エリック先生の講座に参加するのは、ちょっと休憩モード。気が付いたら、3年以上、お会いしておりませんでした。来日されても、夫はもちろん、ずっと先生と一緒ですが、私自身は日々の忙しさにかまけて、ご挨拶すらしておらず。。。

そして、やはり、久しぶりにお会いして、お話を拝聴すると、はっとした驚きがあるものです。
私は、エリック・ペッパー先生から、ヒーリングやケアについて、本当に大切なことを学んでいたことを今回思い出しました(今頃で、ごめんなさい、、、エリック先生)

振り返れば、本当に沢山のことを教えていただいたのですが、最も&最も大切なことは、先生が、明確に、何度も何度も何度も繰り返しおっしゃったこのこと。。。

それは、癒しやヒーリングにとって、一番大切なことは「クライアントが、安全であると感じれるかどうか」ということ。

そして、BF機器をつかって、安全を感じたとき、そうでないときのクライアントさんの内側の変化を、明確に、私達に証明してくださったということです。

もちろん、エサレンでも、他のセラピーの師匠でも、安全の大切さは学んできました。
エサレンの場合は、「非侵襲的アプローチ」「あるがままの尊重」「境界線の尊重」等の表現で伝えられてきました。これらは、私達のタッチケアの根幹となるものです。

で、こうしたことを、エリック・ペパー先生は、論理的に明確に、数値をつかって私達に示してくださったのです。
ある意味、ダメ押しでした。がつんときました!数値を見て、大脳新皮質で理解をすると、最終的にがつん!とはいります。このことは、タッチケア支援センターでつたえる「こころにやさしいタッチケア」の教育法の大きな大きな柱となるもので、本当に、大切にしていきたいと思います。

大切なことは、いつも、シンプルですね。
私達が伝えるタッチケアの教え方も、シンプルでありたい。

そして、エリック先生が、何度も何度も私達に語ってくださることは、「安全」の大切さ以外に、

「呼吸」
「姿勢」
「他者とつながること」
「食生活と栄養」
「睡眠」
「適度な運動」
「笑顔と笑い」
「夜は、パソコンの画面を見ない」
「早寝早起き」
「自然と接する」
などなど。


シンプルなことほど、悲しいかな、人間は、権威あるお立場の方に言っていただき、確認しないと見逃してしまいがちです。しかも、明確に、かつ、実証的に。エリック先生は、そういう人々の心理もよくご存じなのでしょう。

「え?ほんとにそんな簡単なことでいいのですか?」
「目からうろこ!」って、私達は、驚きます。

すると、先生は、次の段階へ。

「では、あなたは、ほんとうに、これを実践できますか??」
「継続してやるためには、どうすればいいですか?」

(おそらく、やらない学生さん達を大勢、見てこられたのでしょう^^。優秀な学生さんほどそうなのでしょうが、簡単なことは、もう、自分は出来ているんだと思い込みがちです)



地に足をつける。
シンプルなことを大切に、明晰に。
そして、継続して。

まるで、父親が言ってたようなことです^^。
でも、娘って、そういうい父の言葉を素直には聞けないものなのですよね^^。
あとで、じわ~っとくるわけです^^。

シャーやブリータ、ジュディス、そして、マリオンローゼンが、私にとって、偉大なマザー達ならば、エリック先生は私の学びの旅の中で燦然と輝く父性的存在なのかもしれません。本当に、ありがたいことです。


って、すごーく前置きが長くなりました。

この日のお題目である「ポリヴェーガル理論(Polyvagal theory) 」について。

これは、日本語では一般的に「多重迷走神経理論」と訳されます。
アメリカ、イリノイ大学の精神医学科の名誉教授である、ステファン・ポージェ博士が1994年に提唱した新しい神経理論で、TRE(緊張とトラウマを解放するエクササイズ)やソマティクス・エクスペリエンス、コンティ二アム、バイオダイナミクス等の、トラウマケアにフォーカスするボディサイコセラピーの理論的支柱として、日本では数年前に少しずつ紹介されています。

エリック先生が、ポージェス先生と交流があるということで、昨年、「デイト中のレイプの被害者が、Noと言えないその理由/精神生理学的な見地において」というタイトルの研究論文を、お二人の連名でニュースレターに発表されていましたが、それをもっと聞きたいと思い、今回の3時間の講義をお願いしたわけです。


このポリヴェーガル理論の理解の中で、あらためて、ずっとエリック先生が私達に伝えてきてくださった「安全」と「つながり」の大切さが、さらに浮彫りに。。。

とはいえ、少し長くなったので、この続きは、次のブログで^^。
クラスの内容は、次でご報告しますね!



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夫と3人でのショットを撮ってたら、いやいや、二人でツーショット撮ろうと、エリック先生。お茶目です^^。

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右側が、いつもエリック先生とアメリカンジョークばかり飛ばしてるうちの夫(中川朋)。左は、突然の依頼にもかかわらず、わかりやすい通訳を担当してくださったスー・リーさん。

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アマナスペースでの講習風景。参加者のお一人に、BFセンサーをつけて実験してるところ。

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by reiko-koyago | 2016-08-04 00:05