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『子どもを守ろう ! 』 ~安冨歩先生が尼崎にやってきた~

安冨歩先生@尼崎 レポート。
『子どもを守ろう~生きづらさをゆるめて~』
2020 1.18&19  その3です。
最後のお話は「日本史を学ぶ」
その1&その2は、フェイスブックで。

日本史とは、まさに私の古巣。
あまりのド直球で感動に震えます。
なので、少々、教科書レベルの日本史を
すこし補足説明しておりますが、ご容赦を!
(先生が直接語られたところを緑の太字にしております!)

ところで

安冨先生のご著書で、
よく登場するキーワードは
1つには『日本”立場”主義』
もう1つは『魂の脱植民地化』
だと思うのですが、
著書では拝読したものの
やはり、ご本人から拝聴するのは
格別の感動があります。

私が、安冨先生のご著書で
最初に拝読させていただいたのは

本の帯には、こうあります。
「現代日本には、未だ『満州』が残っている」
「なぜだれも止められなかったのか?」

そして、
「個人より『立場』を守って
 すべてを失った大日本帝國の運命を
 今こそ知ってほしいと思います」(著者)


日本史をちょっとでもかじった方なら
誰でも、疑問に思うことだと想像するのですが、
何故、戦前の戦争を、
みんな、おかしい・おかしい
無理だ無理だと思っていながら
誰も止めることができなかったのか?

世の中には、よく勉強した
賢い人はいっぱいいるはず。
なのに、どうして子どもが考えても
おかしいと思えるような道を
そして、途方もない悲劇であることが
わかっているのにもかかわらず
突き進んだのか?
あるいは、後戻りできなかったのか?

(それが、まるで、今の時代の政治ようで。
 たとえば原発問題、辺野古の埋め立て問題
 さらに、公文書管理の実態・・・
 等、、誰が観てもおかしいと
 思えることが、みんな声をあげずに
 つきすすんでいく。。。
 そこに、かつての大日本帝国の幻影を
 重ねてしまう人は、
 とても多いのではないかと思います)

このことを考察するには
満州国のことを理解する必要があるのですが、
満州の歴史は本当に難しくてわかりにくい。
(+当時すでに確立していた日本のエリート主義と)

その”満州”の謎と、真実を
とても、わかりやすく
まさに”隠された構造”を暴いてくださったのが
この、ご著書なのです。

これを読むと、私達はいまだに
満州という”亡霊”と共に日本を
生きているのかがわかります。


おっと、レポートから
脇道にそれてしまいましたが
下記からが、ご報告です。


『立場』とは、英語にはない言葉。

position とか、role とか、stance とかに
ニュアンスが近いかもしれない。

江戸時代や明治の初期では
あまり「立場」という言葉は
使われていなかった。

が、夏目漱石の小説
『明暗』には、17回も
立場という言葉がでてくる。
(1916年、大正5年に連載)
『立場』という考えが広がったのは
日本の軍国主義が拡張しつつある時代。

立場があるから戦争に行き
立場があるから、人も殺す

この「立場主義」とは
日本の中世から近代にかけての
「家」制度の残存形態である。


ここで、ちょっとだけ
ベーシックな高校日本史のお勉強を。
(すみませんが、私の高校日本史教科書レベルの
 日本史の知識も混ぜてお伝えします)

大和王権が成立した時
日本の社会制度は
「氏姓制度(しせいせいど)」でした。
家以前に「氏」が重要な要素。

大和王権とは
天皇家とその周辺の
畿内の有力豪族の連合政権。

有力な氏とは
古くは葛城氏・平郡氏・・・等。
その後、物部氏・蘇我氏
さらに後の藤原氏となる中臣氏。
「氏」という大きな血族集団が
社会の構成要素でした。

が、その後、平安時代の半ばから
中世にかけて、
氏の中の「家」が中心になります。
すなわち、武士の台頭です。


たとえ自分が戦で死んでも
「家」が残ればそれでいい。
お家安泰。

また、誰が家の家督を継ぐかで
大きな戦乱も起こりました。
その代表的なものが
応仁の乱。

そこから、戦国時代のはじまりです。

そして、江戸時代。
完全に「家」制度が出来上がりました。

同時に「村」が出来たのも江戸時代です。
農民が土地に束縛され年貢を払う。
村方三役という「役」も登場します。

江戸時代、太平の時代が200年以上続き
家制度はピークに達しますが・・・

ところが、幕末
徳川幕府は崩壊し
これまでの封建制度は解体。
天皇をあおいだ明治新政府が誕生。
そして「中央集権制」となります。

国民皆兵

すべての国民は
国に徴兵されて
国家のために働く。

家制度はここで没落し
かわりに個人単位に役を与えることに。

(しかし、この時代
 まだ日本には西洋的な意味での
「個人」という概念は確立していなかったのでしょう)

そこで、かわりに
登場したのが「立場」。

お国のために果たす役割。
その立場を失うことは
お家断絶に近い恐怖であると
国民にしみこませた。

「立場」のために戦争で死んだとしても
「靖国神社」で英霊として祀られるから
 だいじょうぶ。


(今では信じられないかもしれませんが
 私達の暮らす、日本という国の
 そう、遠くない時代の祖先は、
 そのとんでもない考えを
 受け入れていたのです。。。)




(日本は明治以降
 近代化を走り続け
 西洋文明を取り入れていきました。

 しかし、それほど簡単には
 西洋的な「近代自我」
 「個人」と「自由」という概念を
 受け入れることはできなかったようです)

かわりに浮上したのが「立場」主義。

その「立場」のせいで、
大勢の人々がみずからの「死」を受け入れ
あるいは、人を殺すことを受け入れていった。

ふぅ。。。

私達、日本人が、これから先
「個人」の幸せや自由意志を
互いに尊重しあえるような社会を作るには
これまでの「立場主義」の正体を見破り
超えていかないと、いつまでたっても
果たされないのでしょうね。


この戦前の「立場主義」は
戦後も継続し、
高度経済成長期
会社や組織の中の機能し続けてきたのですが、

しかし!

この産業の成長の過程で
ロボットやコンピューターが導入
90年代には、日本の経済の成長は
終わりを告げた。

それにより、これまでの
「立場主義」は崩壊。

これまで、国家主義によりかかり
国家主権に近いところにいた
立場主義の人々は、
断末魔の悲鳴をあげはじめた。


そこで、安冨先生のお言葉はこう、続きます。


「立場主義」は終わっていきます。
次は、どうなっていくのか
誰にもわからない。
それは、子どもたちが決めていくでしょう。

ただ、これだけは言えます。
もうこれ以上
子どもたちに
「立場」を叩き込むのはやめよう。

なぜならば、次の時代にはもう
「立場主義」は機能しないから。

「立場主義イデオロギー」は
人と人とを分断し、
助け合うことを妨害します。

「立場主義」に依存しないように
子どもを育てよう。

実は、私達は、知らない間に
子どもが、生きようとしている力を
妨害しています。

そうならないためには
親が、自分自身の個人史と向き合うこと。
自分自身の親と、学校との関係はどうだったのか?
そうした関係を見つめながら、
世界の「歴史」を学ぶ。

自分自身の心の中に
ひっかかったもの(源泉)を
学んでいると
世界史と、自分の関係が
つながっていくのですよ。


今回も、素晴らしいオチ。
見事な「歴史の学び方」です!

まずは、自分自身の内側の歴史を見つめなおし
そして、世界の歴史とつながっていく。。。

一人一人の内側の、
自分の歴史、
見つめなおしてみると
きっと、世界とのつながりの
結び目が見えてくるのでは
ないでしょうか?



最後に、先生から推薦図書が。
中世歴史学者の
勝俣静男先生と網野善彦先生。

網野善彦先生の著書は
私が、日本史予備校講師時代
もっとものめりこんだご本だったのです。
心のささえだったといっても良いかも?
ちょっと、嬉しい^^。


そして、安冨歩先生
あらゆる知性と洞察力を駆使し
わたしたちに、真実のエッセンスを
伝えてくださり、ただただ感謝です。

女性装の東大教授として
有名な安冨歩先生ですが、
女性の恰好をされてるせいか
なぜか、私はそのぶん
親しみを感じました。
やはり、女同士!
って感覚なのでしょうか?

会も、女性の方がとても多かったです。
やはり、女性の時代ですね!



この貴重な2日間の講演を
企画してくださいました
NPO法人はちの代表の田中さん。

一緒に創り上げてくださった皆様
そして、ご参加くださった皆様。
世の中には、ほんとに素敵な方達が
おられるんだなぁと思えた2日間でした。


ほんとうのことを見つめ

自分自身を感じて

自分自身のペースを大切に

歩んでいくこと。

そうすると、ごく自然と

あるように、なるように進んでいく。


未来は、子どもたちが選んでいく。

子どもたちに、スペースを!



子どもを、守ろう!


*写真は、2日目の打ち上げ会場で。撮影は原田明さんです。


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by reiko-koyago | 2020-01-20 22:25

エサレン®ボディワーカーでNPO法人タッチケア支援センター代表理事の中川れい子(旧こやごれーこ)の個人ブログです。2003年から、エサレンやソマティクス、ボディワークや癒し、聖地巡礼、社会問題の徒然を気ままに綴り続けています。Soumyaは”月の女神”をあらわす私のホーリーネイム。


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