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レイライン通信 - Soumya 中川れい子のメッセージ・ブログ- rayline.exblog.jp

エサレン®ボディワーカーでNPO法人タッチケア支援センター代表理事の中川れい子の個人ブログです。2003年から、癒しのこと、旅のこと、聖地巡礼、社会問題の徒然を気ままに綴り続けたブログっです。


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コロナから回復された方へのボディワーク試論 ーやっぱり呼吸が大事ー

久しぶりのレイライン通信の更新です。

関西圏も再び緊急事態宣言に入りました。月末の東京行きは延期して関西での滞在期間を延ばしていますが、ちょこちょこ、エサレンの個人セッションは、感染症対策をした上でお受けしています。今日は、以前からのお客様で、数か月前にコロナ療養から復帰された方が受けてくださいました。肺炎にもなられて、入院され、様々な治療を受けられ無事回復されました。今も、アロマやハーブ、漢方薬、ホメオパシー、フラワーエッセンス等を上手に使って回復されていかれています。そこに、エサレンボディワークもということで、もちろん喜んでお受けしました。


もう、何処でも誰でもこの状況を体験する可能性があるのだと痛感します。なので、これからは感染症予防に加えて、実際に罹患したあとの回復期のケアにも力を入れていかないとと思いました。というわけで、ご本人のご了承も得て、コロナ感染症から回復された方のお身体のダメージを少しでも軽減するための、ボディワークのアプローチ法を皆さんとシェアしたいと思います。(なお、施術のさいは換気・マスク・手洗い等を丁寧に行い、通常の感染症対策と同じで、特記することはありません)


というわけで、コロナから回復されていかれる方へのボディワークについて、ちょっと自分なりにまとめてみますね。

中川れい子 エサレン®ボディワーク認定プラクティショナー NPO法人タッチケア支援センター 代表)


コロナから回復された方へのボディワーク試論 ーやっぱり呼吸が大事ー_a0020162_22162556.jpg
アマナスペースのセッションルーム

<回復後もおからだに残る問題>

➀ 隔離のストレス(あるいはトラウマ)

➁ 医療的ストレス(あるいはトラウマ)

③ コロナそのものの後遺症や薬の副作用

隔離のストレス➀ 通常の病に比べて、様々な面で過剰な精神的なストレスをかけてしまいます。過酷なストレスがかかると、人間は無意識に身体のどこかを過度に緊張させてしまいまい、お身体にそうした歪みやねじれを残してしまいます。

家族や友人と離れざるを得ないという「孤独」や、死に瀕するかもしれないという恐怖も、途方もないストレスでしょう。また、近づいてはいけない、触れてはいけないという社会的な目に見えない葛藤も、回復後にからだに残りがちです。

包むように、ささえるように、皮膚全体に滋養を提供することで、安心感や自尊感情も回復しやすく、免疫力も高まるでしょう。タッチケア全体が、こうしたストレスや不安には有効ではないでしょうか。


➁の医療的トラウマ。病床数がひっ迫していた時期ではなかったので、病院の医療者の方はとても丁寧に接してくださったとのことですが、この方の場合は6日間、ずっと点滴で身体拘束されていたのも大きなストレスでした。また、肺炎も起こしておられるので、治療中とはいえ、死への恐怖や不安も少なからずおありだったでしょう。

人は、医学的治療を受けるとき、少なからず、心と身体を、いったん切り離しがちです。肉体を科学的な物質としてみなすことで治療法は確立されるのでしょうが、たいていの治療に対して、心は実は受け入れがたいものでしょう。だから、いったん心と身体は切り離して、なんとか生死の淵を乗り越えていくわけですが、問題はその後です。切り離したものが、もとに戻るのは簡単ではありません。そして、心と身体を切り離したら、今度は身体全体もバラバラになってしまいがちです。

長年、エサレンボディワークを通じて、おそらくは数千人におよぶ方々にロングストロークを施術してきた経験がありますが、一筆書きのストロークが、すっと流れていかないときは、その方の意識の中でご自身の身体がバラバラになっている感じがするのです。からだの端から端がとても遠く感じる。あるいは、目に見えない切り傷のような亀裂が身体を分断しているかのように感じることがあります。それは、大きなストレスがショックな体験のあとの場合が多く、そういう時は、何度も丁寧につなげるようにストロークを繰り返して、からだのつながりをお身体に思い出していただくようにします(ただし、そういう時は気持ちよさを感じにくいので、ほどほどな回数にとどめておきましょう)


③ コロナの後遺症は、様々なことが報告されていますが、この方の場合は肺炎のあとの息苦しさが残ったり、ステロイドを大量に投与されていますので、その副作用も残りました。特に、自律神経系のバランスが崩れ、夜眠れない、頭痛がする等のお悩みをかかえておられました。そして、最も大きな点は、胸郭周辺の筋肉の固さです。これは、肺炎の後遺症と共に、➀➁が大きくかかわっているのでしょう。

(嗅覚・味覚障害は無かったとのことです。治療中、ずっとアロマを使っていたからかもしれないとのことでした)


<施術の着眼点 施術前>

今回、私が施術で特に着目したことは


* 呼吸

* 自律神経系

* 全身のバランス


です。

自律神経系が調わないと、呼吸が改善しません。呼吸はほとんどが無意識のもと、自律神経系と呼吸中枢が司っているからです。そして、免疫力・回復力も低下します。多大なストレスと不安と、薬の副作用等で自律神経系に乱れが生じておられるということで、セッションでは、まずはいつものように、足湯と自律神経系を調えるアルファ・スティムというデバイス(機器)を施術前に使いました。

足湯は全身の血行を促すとともに、頭寒足熱で、不安で思考が過多になりがちな頭部のエネルギーを、脚のほうに降ろしていく役割も大きいです。そして、何よりも、温かさが伝わりとっても気持ちがよく、ほっとします。

アルファスティムはCES(頭蓋電気刺激療法)の電機デバイスのアメリカの製品のひとつです。https://www.alpha-stim.com/ 疼痛やうつの治療に使われる製品ですが、概して思考過多になりがちでリラクセーションに入りにくい方にはとても良くできたデバイスです。本国は医療機器なので、無ければないで無視してください。足湯だけでもいいですし、そして、何よりも安心感と、やすらぎ、やさしく穏やかに寄り添うタッチによる皮膚への刺激ほど、副交感神経優位に導くものはありませんから。


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足湯はここで。頭の後ろにクッションを置かせていただきます。


また、私は普段はアロマは使用しませんが、クライアントさんがアロマセラピストさんでらしたので、精油をご持参くださいました。

ゼラニウム、ユーカリプタス、フランキンセンス等が使われました。呼吸回復にとても良いと思います。


(回復されて数か月たっておられたので、通常の圧と時間でさせていただきましたが、回復直後の方には、圧・時間等を控えめにしたほうが良いかとも思います)

あとは、ゆっくりと、マッサージテーブルに横たわっていただきます。そして、ポジションが楽であるように、丁寧にかかわっていきます。

<呼吸にかかわる全体的アプローチ>

ここからは、ボディワーカーの方へのシェアです。呼吸にかかわるボディワークは、他にもいろいろとありますので、ここでは、エサレン®ボディワークの一例としてお伝えします。(徒手療法だけでなく、ヨガやソマティクスも有効だと思います)

私のほとんどのクライアントさんには、慢性的な肩こりが主訴です。なので、肩こり改善、ストレス改善がいつもの私の施術の中心的なテーマですが、肩こり改善のためには、全身のからだのつながり、自律神経系のバランスを調えることと、呼吸の改善は、常に大切な着眼点でした。施術は、たいてい、背面から始まります。


ー背面のロングストロークー

背面へのトリートメントの最大の目的は、副交感神経優位へと導くことにありますが、僧帽筋を中心に、菱形筋、肩甲挙筋、三角筋、小円筋、前鋸筋等、呼吸とかかわる筋肉にも、関わり始めておきます。ただ触れる、神経を緩めるゆらし(ロッキング)、しっかりと圧を桑て、深層筋にアプローチすることもあります。そして、全身へのロングストロークで、身体全身のつながりを少しずつ思い出してもらいます。

ーそして上向きへ。部分と全体ー


上向きになってからが、本格的な呼吸へのアプローチとなります。

その要となるのは、横隔膜ですが、すぐに横隔膜に触れるということは当然ながらしません。

まずは、全体を調えて、楽にマッサージテーブルに横たわっていただけるようにポジショニングを調えることから始まります。

胸・肩・腕・背中・首・・いわゆる「デコルテ」と呼ばれる部位は、多くの方が施術してほしいところですので、まず、そこからスタートすることが多いです。ここも、呼吸と大きく関係します。まずは、胸の広がりと、腕や肩、背中との連続性を思い出してもらうために、大きくストロークします。からだとは、触れられて広さを感じるだけで、ゆるんでもいいんだと内側からほどけてくるものです。

そして、背面の菱形筋や肩甲挙筋へのアプローチは、背面の時から施術していますが、実際には上向きで本格的に取り組みます。上向きのほうが、脱力していてアプローチしやすいですし、これらの筋肉は大きいのでかかわりやすいのです。そのあと、斜角筋や胸鎖乳突筋等、肋骨につながって呼吸にかかかわる、重要で繊細な筋肉に触れていきます。首の付け根の後頭下筋群から、そして、耳や頭、顔にもつなげていくと良いでしょう。

ヘッドやフェイシャルも、自律神経系を調えやすい箇所ですので、おすすめします。

デコルテ、胸郭から、両腕へとつなげていくと呼吸に広がりが出てとてもいいのですが、ここは、メインイベントとして、たいてい一番最後にとっています^^。

その前に、脚に行きます。呼吸の要、横隔膜には、脚からアプローチするのが良いからです。


ー脚と足ー

ストレスや不安によって、脚を無意識に緊張させる人は大勢おられます。膝や足首、そして、股関節。特に、股関節は、横隔膜とダイレクトに影響します(そして、股関節と膝、膝と在足首も影響しあっているので、結局は、脚全体が横隔膜とかかわっていると言えるのですが)

脚は無意識と関係しています。脚については、グラウンディング等、他にもいっぱい語りたいことがありますが、まぁ、今日はスルーして、股関節と横隔膜の関係をみてみましょう。

横隔膜からは、人間のからだの深部の中心部、いわゆるコアと呼ばれる重要筋肉「大腰筋」とつながっています。大腰筋は、そのまま骨盤の内側の筋肉の腸骨筋とつながりながら、さらに大腿骨の内側(小転子)とつながっています。だから、脚のはじまりは、横隔膜であるとボディワークでは学ぶのです。


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女性は文化的に股関節を内側に閉じてしまう傾向がありますが、そうやって緊張させることで、横隔膜にも影響し、呼吸筋を緊張させてしまいがちです。

しかし、閉じたい股関節を無理やり広げるわけにはいきません。脚全体をじっくりとマッサージでゆるめてからからだと対話しつつ、ゆっくりと緊張が手放されるプロセスに伴いながら、股関節が軽く開くようなポジションをからだに促します。そうやって、股関節・腸骨筋から、大腰筋、そして横隔膜がゆっくりと緩むのを待ちます。


ー腹部 ハラ 横隔膜ー

そして、腹部へのアプローチに移ります。お腹は、内臓があり、胸郭のように肋骨で守られていないので、たいていの人は、お腹に触られるのはもっとも警戒し、よほど信頼しないと、お腹に触れられるのは怖れが伴ってしまうものですが、脚にじっくりかかわった後だと、比較的お腹は警戒心をほどき、ある程度すでに緩んでいることが多いでしょう。

やさしく、おだやかに、しっかりと、タオルの上からお腹に触れて、そして、呼吸や脈動(腹部大動脈がある)など、揺らぎを感じながら同調します。呼吸とともに、自分自身のコアと、受け手のコアが共振する、セッションの重要な場面です。

ここで急がず、立ち止まり、より深い瞑想的な意識で、ハラという身体の深部の扉を開けていただきます(でないと、横隔膜ゆるみません~)。ゆっくりと、腹部の地肌にオイルトリートメントをしていくのですが、脇腹のほうから、す~っと入っていきましょう。そして、お臍の周りを、大きく、広く、ゆっくりと時計回りにストロークしていきます。ゆっくりというのは、まさに、呼吸のリズムで・・・です。

ところで、呼吸といいますと、自分の呼吸と、受け手の方の呼吸がありますが、さて、どちらにあわすと良いのでしょうか?

まずは、自分自身の呼吸です。

そして、相手の呼吸にも意識を向けます。

すると、不思議と、二人にとってちょうどいいリズムが見つかっていきます。

自分でも、相手でもないもう一つの波のリズム現れてきます。

これが、息が合うということなのですね。

息を、合わそうとすると、たいてい遅れてしまうので、自然と息が合うのを待ちましょう。

お腹と対話をするように、探るように、じょじょに、圧が深くなっていくかもしれませんが、共鳴していると、自然と、深部にお腹は入れてくれるでしょう。

そして、お腹の広がりを、受け手の方の体に触れる手で伝えてあげてください。

広く、大きく、つながっていることを、感じてもらうのです。

それだけでも、お腹はゆるみ、横隔膜も緩んでいきます。

ここで、横隔膜や、腸骨筋へのアプローチ法を知っている方は、ここでなさると良いと思います(私は、たいていやっていますが、習熟するには時間のかかる技術だと思います)


ー胸・腕・ハートを開くー

腹から、胸へとうつっていきます。

胸、いよいよ、肺、そして、呼吸へのアプローチのクライマックスです。

胸椎から、肋骨の隙間から、肋間筋に触れていくこともありますが、女性の場合は乳房があるのであまりやりやすいワークではありませんね。

なので、胸の表層にある大胸筋は上腕骨につながっていますので、胸から腕へと、ストロークをつなげていきます。また、肘・手首・手の平や指を丁寧にほぐすことで、腕全体がリラックスし、それはそのまま、胸の緊張をほぐしていきます。

大胸筋の深部にある小胸筋も、アプローチポイントです。小胸筋は、肋骨とつながっているので、呼吸とダイレクトにつながりますし、スマホやパソコンのしすぎで肩が狭まれるように固定されるときも、小胸筋は縮みやすいです。小胸筋の付着部は、肩甲骨の内側にある小さな骨、烏口突起。ここに丁寧にアプローチするのも、呼吸の改善につながるでしょう(肩関節を動かしながらアプローチしますが、ちょっと文章では説明しにくいので省略)」

股関節と同じように、腕の脇も、人間はあまり開きたくはないからだの部分です。

でも、脇を開かなければ、呼吸も広がりにくい。

そこで、肩関節に、丁寧にアプローチしていきます。

手の平が、口元に近づくような動き(何かを食べるかのような)で、腕を上にあげていき、脇を広げてもらうのも良いでしょう(ここも、文章では表現しにくい^^。腕に力が入らないように、下から腕を支えるようにして動かすと良いでしょう。腕はすぐに力が入ってしまうので、難しいワークの一つだと思います)

脇が開くと、前鋸筋という、やはり肋骨と呼吸にかかわる筋肉にもアプローチができます。

脇から、からだの側面の広がりを、大きくストロークすることで、胸郭はもっと広がってもいいのだということを、からだが思い出していくでしょう。

脇や身体の側面、そして、肩関節のムーブメントの中でのアプローチでも、呼吸が広がっていくのをサポートすることができます。からだに立体的にかかわることで、からだ自身が、立体的な存在であることも、思い出していくのです。


胸が広がり、呼吸が広がると、ハートも開かれます。

この時、感情も流れやすくなります。

逆に、感情を押しころすと、ハート周辺の筋肉が固くなりがちで、呼吸も浅くなります。


ー全体の統合と、見守りー


最後に、もう一度、デコルテの周辺のつながりをストロークで調えます。もうかなり、肩も首もゆるゆるです。

そして、全体をととのえて、見守ります。

やわらかな視線で、適切な距離で見守ってください。

その方の、あるがままを大切にするような、見守りです。

ここでも、さらに、リラクセーションが深まり、呼吸に変化が起こります。

この時間は、とても大切。

何もしない、Beingの時間。

誰にも触れられず、自分自身でいられることで、自分らしい呼吸を取り戻すことができます。

胸郭が広がり、腹部や骨盤とも連動する、波のような呼吸の広がり。

一呼吸ずつに、全身がゆらぎ、吐く息とともに、からだの重みがマッサージテーブルの上にゆだねられていきながら、からだと存在と呼吸が一体となっていく、生命の美しさが広がる瞬間です。それは、ご自身のもつ内側の力なのです。


セッションでは、より効果がでるように、様々な筋・筋膜にアプローチしましたが、深く、やすらぎ、自律神経系が調うだけでも、呼吸は安定し、広がっていく場合も多くあります。

コロナを乗り越えたあとも、ストレスや、後遺症、副作用で悩まれる方も多いと思いますが、できることなら、それを、なるべく放置しないことをお勧めします。治療のために多くの新薬が使われることも多いので、回復期には薬物療養よりも、自然療法や運動療法、ハーブや、ボディワークや、ヨガ等をうまく取り入れながら、回復していただけると嬉しいです。私たちも、リラクセーションと、ボディワークのクオリティを深めていく必要を感じています。


最後に・・・。

呼吸について、素晴らしい本がいろいろと出版されていますが、今日は、この一冊をおすすめしたいと思います。

コロナの時期、一家に一冊ではないかと思うぐらい、おすすめです。イラストもとても綺麗な本で、呼吸とは何かがとてもわかりやすいです。


それぐらい、コロナは私達の呼吸に直撃しているからでしょうね。。。

これも、何か意味があるのかもしれません^^。


私たちは、呼吸に対して、もてる知識と経験をすべて動員して、この危機を乗り越えていかないといけないのでしょう。




身体のデザインにあわせた、自然な呼吸法

アレキサンダーテクニークで息を調律する

(リチャードブレナン著 監訳 稲葉敏郎 医道の日本社)

コロナから回復された方へのボディワーク試論 ーやっぱり呼吸が大事ー_a0020162_22160165.jpg


by reiko-koyago | 2021-08-22 22:44